こころの世界を読み解く

"生きやすさ"を心理学の知識とともにお届けします。

感情と思考パターンを読み解く。

こんばんは、りょーやです。今回も読んでくださり、本当にありがとうございます。

最近寒暖差激しいですね。寒暖差は人の自律神経を刺激するらしいので、特にイライラや落ち込みなどに注意したいものですね。

さて、今回は「感情と思考パターン」について考えようと思います。前回の人間関係のお話よりも難しくなるかもしれませんが、よかったらお付き合いください。

1. まとめ

①意味ネットワークモデルでは、言葉(とりわけ単語)は頭の中で結節し合い、その言葉ごとをノード(結節点)という。このことは、感情をノードにした感情ネットワークモデルにも応用されている。 

 

②意味ネットワークモデルにおいて、ある言葉に対する刺激が与えられると、周辺で結節する言葉も活性化する。このモデルを活性化拡散モデルという。

 

③感情ノードは、もしかしたらその体験量によって大きさに個人差があるかもしれない。また、頻度高く活性化される結節点は、どこかのタイミングでダイレクトに感情と誤って結節するのかもしれない。

 

④自分の感情ノードの周辺を見渡すと、もしかしたら誤った結節が見受けられうかも。そんな時は、切り離してより適切な言葉でラベリングして再結節してみよう。

2. 問いかけ

「つらい」という気持ちを思い浮かべた時、その引き金はなんでしょうか?

また「つらい」気持ちの時、どういう行動がよく起きているでしょうか?

日々生きていたら、おそらく何かしら「嬉しい」とか「つらい」とか、様々に感じることがあると思います。それはどんな時に引き起こされているのでしょうか。そして、そんな時、あなたはどんな行動をとるのでしょうか。自分の気持ちの一側面(ここでは、つらい感情をとってみます)を、客観的に見てみましょう。3.の内容を読んだ上で、是非紙とペンを持って描いてみてください。

3. 心理学の知識と"生きやすさ"の考察

意味のネットワークと感情への応用

コリンズとキリアンという学者によって、意味ネットワークモデルが提唱されました。これは、例えば「いちご - 果物 - 栄養豊富」のように、言葉とその意味や関係がつながって認知されているというものです。この理論でいう、「いちご」や「果物」をノード(結節点)といいます。ノード同士は意味の近しさによってその距離(意味的距離)が示されるとも言われています。

また、この派生理論として、活性化拡散モデルというものもあります。ちょっと難しいかもしれません。つまるところは、あるノードに関して刺激が与えられるとその周辺のノードも活性化するという考えです。

以上二つをまとめた図を描いてみました。(僕の適当な世界観なので、内容はあまり気にしないでください。笑)

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上の図では、パンを基点に様々なノードが結節されています。中でも、朝ごはんとかはパンにも結びつき、また牛乳にも結びつくというように、1つのノードが2つ以上に結節することもあります。

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この活性化拡散モデルでは、例えば「牛乳」という単語が耳に入ってきたとします。その時、先ほど挙げたネットワークモデルを持つ人は、牛乳という刺激に結節された他のノードが活性化します。この時、意味的距離の遠いノードはあまり活性化しません。

 

さて、ここまで意味ネットワークモデルと活性化拡散モデルについてお話しました。ここからさらに、バウアーという認知心理学者は意味ネットワークモデルを感情へと応用しました(感情ネットワークモデル、といいます)。感情のノードを規定し、そこに事象が結節していくというものです。

感情ごとの体験量とノードの大きさの関係について

感情ノードについて、おそらくですがその感情を感じた・体験した量に応じて、ノードの大きさが人によって違うのではないかと考えています。つまり、つらい感情をたくさん感じてきた人は「つらい」のノードが大きく大きく膨れ上がっている、ということです。そしてそこにこれまで「つらい」を引き起こした事象がリンクしていって、さらにその事象に色んなことがリンクしていって...。気がつけば、多様な事象に対して「つらい」が引き起こされる...。

このように、本当に人によってまちまちだとは思うのですが、特にエピソードとしてよく残っている感情は、その人の中でかなり大きなものへと膨れているのではないでしょうか。僕の想像でしかありませんが、「つらい」の感情が日々の仕事などで拡大したお父さん像を描いてみました。

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架空のお父さん像の、特に「つらい」を引き起こす事象を2つほど挙げてみました。このうち、責任の方を取り上げて、特に社内コミュニケーションがしんどいと仮定してみましょう。社内チャットが仕事中も仕事時間外でもバンバン鳴り止まず、いついかなる時でも仕事が止まらない...。そんなお父さんには以下のような、誤ったノード同士のリンクが起きてしまうかもしれません。

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 上のような状況になると、もはやチャット通知が鳴るだけで心臓がグッと押し付けられるような辛さが生じたり、責任から逃避しようと衝動的な行動をしたりするかもしれません。

感情ノードからの事象の切り離しとラベリング

ここまでを考えて、1つ思うことがあります。それは、「本当に感情と言葉がフィットするものなのか」を今一度検討し直してみる方が生きやすいかもしれないということです。もし感覚として違うと感じるならば別の言葉をつけて(ラベリングと言います)再記憶する方が心が軽くなるかもしれません。先ほどのお父さんの例を挙げるならば、チャット通知自体は「鬱陶しい」感情であり、「つらい」感情ではない、ときちんと区別してラベリングするだけでも少し楽かもしれませんね。そう自分の頭の中で認知してあげるだけでも、「鬱陶しい」ノードでの処理に変わって、「つらい」を想起する頻度は下がるのかもです。

今一度、どんな時にどんな感情が起きるのかを整理してみると、案外おかしな結節が起きていることがわかるかもしれません。

おわりに

最後にですが、そもそもこの感情の整理ができる人は、こころの状態的に比較的客観視が可能な、落ち着いた人だと思います。中々自分のことに気づくのは難しいかもしれません。だからこそ、自分の大切な人や周囲で苦しんでいる人のこころの整理をお手伝いしてあげて欲しいな...と思って書いてみました。

少々脱線しますが、自分の1日のHPが100だとしたら、その1を誰かに分かち合うような、そんなヒトの関係性が紡げたらいいなぁなんて思います。笑

 

ではでは。